1歳2歳の子どもがお絵描きの順番を待てるようになるの?
1歳児クラスでも2歳児クラスでも順番を待って絵を描けます。
私が1歳でも2歳でも1対1で描いた1年間で1人100枚以上の描画実践を研修会などで報告すると、
「どうやって時間を作っているのですか」?とか、
「やってみたけど子どもたちが群がってきてケンカを始めます」とか、
「1人の子どもがもっと描きたいもっと描きたいと、席を譲ってくれないからどうすれば良いか」という
質問を受けることがあります。
大切なのは、3つのことです
1、 準備 2、回数 3、信頼です
・順番が待てるということは、決まりがわかるということです。それは社会性の育ち!第二の自我の育ちでもあります。
・「じゅんばんこ」と交代してあげるということは、仲間を思うやさしさの育ちです。
初めから できるのではなく描画活動を日常化し、回数を重ね生活や遊びの中で積み重ね、育てていくものなのです。
「かして」「いいよ」は、1日にしてならずですが、貸してもらった嬉しさが
「欲しいけどがまんする」〜だけど〜する自制心、第二の自我の育ちに関わってきます。
お絵描きの順番が、必ず来るという見通しを育てるには、大人と子ども、子どもどうし、お互いの信頼関係が必要です。
有効な声がけは「次〇〇ちゃんだよ、その次〇〇ちゃんだよ」です。「ちょっと待って」ではわかりません。
1歳児クラスでも2歳児クラスでは、「みんなよくできたね」の「みんな」ではなく〇〇ちゃんということで理解ができます。
約束を保育士も守って、子どもたちに信頼されましょう。
一対一で描く活動とは
乳児組のお絵描きは、
子どもが描いた線をきっかけに、大人と子どもが2人で物語を作っていく活動です
大人は絵はアート(芸術)であると思いがちですが、子どもの絵はお話です。
ぐるぐる丸や閉じた丸は形ではなく、絵に託した言葉だから、対話して聴かないとわかりません。
2人の子どもさんを1度に聴いたなら
先日、保育園での笑を聞く保育講座の後、質問がありました。
その質問は、
せっかく描いた絵を塗りつぶしてしまう子どもさんがいるがどうすればいいでしょうか?
という質問でした。
よく聞いてみると2人一同時に絵を聴いていたそうです。
そして片方 の、子どもさんの話に夢中になっていると、もう1人の子どもさんが絵を塗りつぶしたそうです。
私たち大人でも、自分が一生懸命話しているときに、他の人と話し始めるとどんな気持ちがするでしょうか。
子どもにとって先生を独り占めしていろいろな話を聞いてもらえる時間は至福の時です。
おもしろくなくなってしまってと塗り潰す行動に出るのはよくあることです。
「なんでぬりつぶすのよ!」と言う前に気づいてあげましょう。
1対1での描画活動を成功させる3つの秘策
1、準備
1対1での描画活動を成功させるには、まずは環境設定です。
段取りで8割決まります。
① 場所
・お絵描きコーナーを作るといいです
保育士からは全体の子どもが見える位置。
子どもからは余計な情報が入らない場所が良いです。
お絵描きに集中できることが大切です
・待っている子どもたちのために おもちゃの数を確保することも重要です
② 時間
これは保育園と家庭では違います。
保育園は保育士が余裕のある時間
または保育士どうしが話し合って「この時間にお絵かきしようね」と共通理解できた時間が望ましいです。
忙しい時間にお絵描きを始めてしまうと大変なことになってしまった私の経験から、
設定した特別な時間で一斉に描く場合と、
ご飯の後や、お昼寝の後など少人数ずつお話を聴きながら描くことを続けてきました。
習慣化することが、 良い結果を生みます。
もう一つ大切なのは、楽しい出来事があったその日に描くことです。
すてきなお話が弾みおもしろい表現が出てきます。
ご家庭の場合は、
お母さんが忙しい時間に限って子どもさんが「おえかきしたい!」と要求してくる場合がよくあります。
お絵描きコーナーを作っておくことも大切ですが、要求した時に、5分でいいので絵を聴くことを3回続けてください。
お母さんは、いつもそのような余裕があるのではないと4人子育てした私はよくわかります。
しかし、私の体験から
大切なことは車の送迎時であったり
料理を作ろうと思って台所に立った後ろ側から子ども達はしゃべってきました。
少し手を止めて耳を傾けることが お宝時間を作ることにつながります。
③ 画材
・紙は広いものがいいです。ポスターやカレンダーの裏は滑りもよく穴も開かないので、よくいただき利用させてもらっていました。
四つ切り大のざら紙と呼ばれる用紙を高知県高知市の「政屋」さんから購入していました。
コピー用紙のA2サイズも安価で広さもちょうどいいです。
画板があれば凸凹しないので尚、良いです。
・時間帯は 保育士の余裕のある時がベストだと痛感しています。
忙しい時間帯にお絵かきをしてしまうと、
子どもが「もっと描きたい」という要求に答えられず、自分自身もイライラしてしまうので悲惨な結果を招いてしまうことがありました。
・マーカーは色は1色で描いていました。描きたいことに 集中するためです。
たくさんの色があると子供たちは色で遊ぶことに夢中になってしまいます。
プチマジーやサクラふとふとマーカーを使っていました。
最近は、シャトルクレヨンなども利用しています
安全な素材、持ちやすい、「描いた!」と達成感のある太さであることが望ましいです。
2、回数
・ 「やってみたけど無理でした」という保育士さんの声も時々聞きます。
環境設定をして準備万端整えて3回は描いてみてください。
子どもとの描く時間は「子どもたちより保育士の方が先に楽しくなった」
というケースが多いです。まずは先生が「楽しいなぁ」と感じるのには試行錯誤して段取りがうまくいって、余裕も必要です。
3回は描くためには、 職員同士で話し合い時間を作る必要があります。
「 無理だと思ってたのに、時間は作れるものですね」と 、毎日お絵かきの時間を作った保育士さんの嬉しい報告も受けたことが度々あります。
3、信頼
お絵描きに限らず、日常生活の子どもとの関わりの中で
・子どもたちとの約束を守る
・話はしっかり目線を合わせて聴く
この2つは「先生大好き」「ママ大好き」になってもらうためにも守りたいことです。
大好きな先生をひとりじめできるお絵描きの時間だからこそ、順番待っても楽しみにしてくれるのです。
まとめ
1歳、2歳児クラスで
順番待ってお絵描きするために
・準備…段取りで8割決まる
・回数…習慣化するのに3回描く
・信頼…約束守る、しっかり聴く
いいことだらけの描画活動を楽しむと表現力以外に、
社会性と優しさ、大人との信頼関係などの非認知能力も育ちます。