保育現場では高い離職率が問題になっています
保育の仕事は過酷です。でも保育士さんが楽しく学べることで、やりがいが生まれ、楽しい保育へと変わった例が、多く聞かれます。それは、 **絵を読み取り、子どもを理解が深まった絵を聴く手法を習得したからです。
この手法は、子どもの絵を「単なる作品」としてではなく、「心の声を聴くツール」として活用。子どもの内面理解や支援に役立つと、多くの保育士から支持を集めています。
絵を聴く保育のメリット
「絵を聴く保育」には、以下のようなメリットがあります。
1. 子どもの心が見えてくる
「なんでこの子、最近元気がないのかな?」「どうして友だちと上手く遊べないのかな?」。そんな保育士の悩みに、「子どもの絵が答えをくれる」 ことがあります。ある日、いつも活発なAちゃんが真っ黒な絵を描きました。お父さんに話を聴いてみると、「家庭内の問題に不安を感じていた」ことがわかったのです。残念ですが、その後、お父さんはシングルファーザーとなりました。しかし、おばあちゃんにも協力してもらい、大好きなお父さんとの時間が、もてるようになってから絵が変わってきました。
まっ黒な絵を見て「なにかいたのかな?」と聞いても何も答えなかったAちゃん。おいもほりの日お絵描きをした時、ぐるぐる丸を見て「おいしそうなお芋だね」とことばがけすると、おおきくうなづきました。そして「ぱくぱく おいしいな!」と食べるまねをすると、どんどんぐるぐる丸を描きはじめたのです。
塗りつぶしは絵の泣き顔と言われますが、発散して浄化される作用もあります。もし、Aちゃんのように悲しい気持ちの絵に出会っても、心を包み込むように受け止め、必要ならば抱きしめてあげましょう。
2. 特別な技術や道具が不要
「でも私、絵が苦手で…」そんな心配は無用です!必要なのは、 「マーカーと紙」、そして「子どもの話に耳を傾ける気持ち]だけ。実は、 保育経験が浅い先生の方が、先入観なく子どもの絵に向き合えるメリットもあります。
0〜2歳までは、しっかり立って描くことをお勧めします。
握りやすい画材で「描いた!」と達成感のあるものがいいでしょう。
お絵描きはじめの一歩 「お勧め画材 ベスト3」をご覧くさい。
3. 短時間でできる
おやつの後の15分、午後のちょっとした空き時間…。「時間がない」という方も、
「少人数から始めれば無理なく実践できます」。
子どもと1対1で向き合う「貴重な時間」にもなります。
こどもたちは、「先生やママをひとりじめ」できて
一層、信頼関係が深まります。
実践例から学ぶ
ケース1:3歳児クラスでの実践
毎日のように「お話聞いて」と順番無視して、人を押しのけて
絵を描きたがっていたBちゃん。
みんなが描きたがるのが同時で、3歳児クラスは先生は手が回りません。
「なかなかゆっくりお話を聴いてあげれれなくて、気がつけば塗りつぶしてて」と、保育士3年目の先生。
「絵を描く時間に1番に誘ってみたら!」とアドバイスしました。
すると、お友だちと遊んだ楽しい絵があらわれて
「うれしくて、うれしくて抱き合いました!」と笑顔で話してくれました。
驚くことに、トラブルが多かったBちゃんは、少しずつ落ち着いて過ごせるようになったそうです。
ケース2:4歳のYちゃん
人前で話すのが苦手だったYちゃん。絵のお話を聴く時間を重ねるうちに、
自分から「先生、見て!」と絵について話せるように 。
その自信が普段の活動にも広がっていきました。
明日から始められる3つのステップ
詳しく知りたい方は、>>改訂版「絵を聴く保育」をご覧ください
Step1:環境づくり
– マーカーと紙を用意
– 子どもの目線の高さのテーブル
– リラックスできる場所の確保
Step2:ことばがけのコツ
– 「これなあに?」と優しく問いかける
– 子どもの言葉をそのまま受け止める
– 一緒に想像を広げる
Step3:記録の取り方
– 日付と名前を控える
– 子どもの言葉をメモ
– 気になる様子があれば書き留める
最後に
絵を聴く保育は、特別なものではありません。 **日々の保育の中で、子どもの心に寄り添うためのツールの一つ** です。一人の子どもの絵に耳を傾けることから「新しい発見や気づきが生まれる」 かもしれません。
明日から、あなたも始めてみませんか?「子どもたちの心の声に耳を傾ける素敵な時間」が、きっと待っていますよ。
#絵を聴く保育 #子ども支援 #保育士の学び
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