【絵画研修】4歳「描けない」が「描けた!」に変わる!明日から使える「絵を聴く秘技」とは?


~子どもの表現力を引き出し、保育の質を高めることばがけ講座のご案内~

「うちの子、絵が苦手で…」「何度誘っても『描けない』の一点張りで…」

保育の現場で、このような言葉を耳にしたり、実際に頭を悩ませたりした経験はありませんか?

 特に4歳、5歳と成長するにつれて、周りのお友だちの作品と自分の作品を比べ始め、「うまく描けないから描きたくない」と表現すること自体をためらってしまうお子様の姿は、決して珍しくありません。


 子どもたちの「描けない」という言葉の裏には、

・自信のなさ、失敗への恐れ、そして何よりも「どう表現したら良いかわからない」という戸惑いが隠されています。この小さなつまずきが、自己肯定感の低下や、さらには他の活動への意欲減退に繋がってしまうとしたら、それは非常にもったいないことです。


 保育者として、私たちは子どもたち一人ひとりの「表現したい」という芽を大切に育み、その子らしい花を咲かせるお手伝いをしたいと願っています。しかし、具体的にどのような言葉をかけ、どのように関われば、子どもたちの心を解き放ち、自由な表現へと導くことができるのでしょうか。

 本記事では、子どもが「描けない」から「描けた!」「もっと描きたい!」へと目を輝かせる、魔法のようなコミュニケーション術「絵を聴く秘技」について、具体的なエピソードと実践方法を交えながらご紹介いたします。そして、この秘技を体系的に学び、貴園の保育の質を一層高めるための講演講座についてもご案内させていただきます。


「描けん!」孫の一言から見えた、子どもの心の壁

先日、4歳になる孫に、運動会で体験した「大きな柏餅を運ぶ競技」の絵を描いてもらおうとした時のことです。

「運動会の絵、描いてみようか?あの大きな柏餅、面白かったよね」
そう声をかけると、孫は少し困ったような顔でこう言いました。
「うーん…難しいやつは、柏餅運ぶが…」
「じゃあ、それ描いてみようよ!」
期待を込めて促すと、孫はさらに声を大にして言いました。
「だから!難しいやつは描けんがよ!」

 この「描けん!」という言葉。保育現場でもよく耳にするのではないでしょうか。

この言葉を発する時、子どもの心の中では

・「うまく描けなかったらどうしよう」
・「先生や周りの子に笑われるかもしれない」
・「どうやって描いたらいいのか全然わからない」

といった不安や葛索が渦巻いています。


特に年中・年長クラスになると、他者意識が芽生え、自分の作品と他者の作品を比較するようになります。

「〇〇ちゃんみたいに上手に描きたいけど、自分には無理だ」と感じてしまうと、描くことへの意欲は一気にしぼんでしまいます。

 しかし、ここで諦めてしまうのはまだ早いのです。子どもたちの心に寄り添い、適切なことばがけをすることで、この「描けない」という心の壁を乗り越えさせ、「描けた!」という達成感と喜びに変えることができるのです。

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「絵を聴く秘技」とは?~描かせるのではなく、引き出すコミュニケーション~

 私が「絵を聴く秘技」と呼んでいるのは、決して絵の技術的な指導法ではありません。それは、子どもの言葉に耳を傾け、その子が見ている世界、感じていることを丁寧に「聴き」、共感し、具体的なイメージを引き出すコミュニケーション術です。

「上手に描きなさい」「もっとこうしたら?」といった指示や評価ではなく、子どもの内なる声に寄り添い、そっと背中を押してあげる。すると、子どもは安心して自分のペースで表現の世界に足を踏み出し、やがて「描けた!」という成功体験を積み重ねていくことができるのです。

先ほどの孫とのやり取りも、この「絵を聴く秘技」を意識することで、劇的な変化が生まれました。


実録!「描けん!」が「描けた!」に変わった瞬間

「描けん!」と言った孫に、私は次のような言葉をかけ続けました。

私:「そっか、難しいと感じるんだね。じゃあ、まず一番大事なもの、描きたいものって何かな?やっぱり柏餅?」
孫:「うん…(少し考えて)柏餅…」
私:「じゃあ、その大きな柏餅を、画用紙のどのへんに描こうか?真ん中がいいかな?端っこがいいかな?」
孫:「(指をさして)ここらへん…」
私:「いいね!そこに大きな柏餅を描いてみようか。どんな形だったっけ?」

孫はマーカーを手に取り、画用紙に向かい始めました。

孫:「(柏餅の輪郭を描く)」
私:「わぁ!すごい!ちゃんと葉っぱに包まれてる感じも出てるね!(描けたことを褒める)」
孫:「うん」
私:「その柏餅、一人で運んだの?」
孫:「ううん、3人」
私:「そっか、3人で運んだんだね!じゃあ、あと二人のお友達も描いてあげようか?」
孫:「えー!無理無理!」

また「無理無理」が出ましたが、ここで諦めません。


私:「お!手を描いてるんだね!そこから顔はどのへんかな?」
孫:「(顔らしき丸を描く)ここらへんがかお?」
私:「うんうん、いいね!あと二人のお友達も、どこに描こうか?」

こんな風に、描く順番や位置を一緒に考えたり、具体的な質問を投げかけてイメージを膨らませたり、少しでも描き進めたら「すごい!」「いいね!」と実況中継のように声をかけたりしました。

すると、「無理無理!」と言っていた孫が、少しずつ絵の世界に入り込み、顔を描き、手を描き、足跡らしきものをトントントンと描き加え、「これトラックね!」「入退場門はこういう感じ!」と、運動会の情景を生き生きと再現し始めたのです。

そして最後に、「運動会できたね!」と声をかけると、孫は達成感に満ちた、最高の笑顔を見せてくれました。


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明日から使える!「絵を聴く秘技」6つの具体的なコツ

 この孫とのやり取りの中に、「絵を聴く秘技」の具体的なコツが隠されています。保育現場で明日からすぐに実践できる6つのポイントをご紹介します。

  1. 描く順番を教える:「まず何から描く?」と問いかける
    • 子どもは何から描いていいか分からず、手が止まってしまうことがあります。「一番大事なものは何かな?」「一番描きたいものはどれ?」と問いかけ、描く対象を一つに絞ってあげることで、描き出しのハードルを下げます。大きなもの、中心となるものから描くように促すと、構図も自然とまとまりやすくなります。
  2. 描く位置を教える:描き方ではなく「どこに描くか」を意識させる
    • 「上手に描く方法」を教えるのではなく、「そのリンゴは、画用紙のどのへんに置きたい?」「お空はどのくらいの広さにする?」など、描くものの「位置」や「大きさ」を問いかけます。これにより、子どもは具体的なイメージを持ちやすくなり、安心して筆を進めることができます。
  3. 褒める:「すごい!」と、絵の出来栄えではなく「描けたこと」自体を褒める
    • たとえ線一本、丸一つでも、子どもが何かを描き始めたら、その行動自体を「すごいね!」「描き始めたね!」と具体的に褒めます。絵の上手下手で評価するのではなく、描こうとした意欲や行動を認めることで、子どもの安心感と自己肯定感を高めます。
  4. 質問をする:「一人で運んだ?」具体的な質問でイメージを喚起し、描きやすくする
    • 「何色で塗りたい?」「その時どんな音がした?」「誰と一緒にいたの?」など、五感を刺激するような具体的な質問を投げかけます。これにより、子どもは描く対象のイメージをより鮮明に思い浮かべることができ、自然と描きたいことが溢れてきます。抽象的な問いかけよりも、具体的なエピソードを引き出す質問が効果的です。
  5. 信じる:「描けない」「無理無理」と言われても、きっと描けると信じて待つ
    • 子どもが「描けない」「無理」と言っても、すぐに諦めたり、代わりに描いてあげたりするのではなく、「大丈夫だよ」「ゆっくりでいいよ」「きっと〇〇ちゃんなら描けるよ」と、その子の力を信じる言葉をかけ続けます。保育者の揺るがない信頼が、子どもの「もう一度やってみよう」という気持ちを引き出します。
  6. 実況中継する:行動を言葉にして、認められている感覚を育む
    • 「お、顔が描けたね」「トントントンって足あと?」「手からくっつけるのか!」など、子どもの行動や描いている様子をそのまま言葉にして実況中継します。これにより、子どもは「見てくれている」「自分のやっていることを認めてくれている」と感じ、安心して活動に取り組むことができます。

 これらのコツは、特別な技術や才能が必要なものではありません。子ども一人ひとりの心に寄り添い、その子のペースに合わせて丁寧に言葉を紡いでいく、まさに「対話」そのものです。

実際の映像をご覧ください。

「絵を聴く秘技」が貴園にもたらすもの

この「絵を聴く秘技」を保育に取り入れることで、貴園には以下のような素晴らしい変化が期待できます。

  • 子どもたちの表現意欲の向上 「描けない」が「描けた!」に変わる成功体験は、子どもたちの自己肯定感を高め、絵画活動だけでなく、様々な活動への意欲を引き出します。
  • 保育士の指導スキル向上と負担軽減 具体的な言葉かけの指針を持つことで、保育士は自信を持って子どもたちの表現活動をサポートできるようになります。また、子どもが主体的に活動に取り組むようになるため、保育士の精神的な負担軽減にも繋がります。
  • 保育の質の向上 子ども主体の豊かな表現活動は、園全体の保育の質を向上させ、保護者からの信頼も厚くなります。「あそこの園の子どもたちは、みんな生き生きと表現活動を楽しんでいる」そんな評判にも繋がるでしょう。
  • 子どもたちの全人的な成長 自分の感じたこと、考えたことを自由に表現する経験は、コミュニケーション能力、創造性、問題解決能力など、子どもたちの全人的な成長を促します。

【講演講座のご案内】「絵を聴く秘技」を学び、保育の可能性を広げませんか?

この記事でご紹介した「絵を聴く秘技」について、より深く、体系的に学んでいただける講演講座をご用意しております。

本講座では、

  • 「絵を聴く秘技」の理論的背景と具体的な実践方法
  • 様々なタイプの子どもへのアプローチ事例紹介
  • ロールプレイングを通じた実践的なことばがけ演習
  • 質疑応答を通じた、現場の悩みや疑問の解消

など、明日からの保育にすぐに活かせる内容を、豊富な事例と共にお伝えします。

講師は、長年保育現場に携わり、多くの子どもたちの「描けない」を「描けた!」に変えてきた経験豊富な専門家です。>>>プロフィールはこちらをクリック

【こんな園長先生・研修担当者様におすすめです】

  • 子どもたちの表現力を豊かに育みたい
  • 保育士の指導スキルを向上させたい
  • 園の保育の特色を打ち出したい
  • 子どもたちがもっと主体的に活動に取り組めるようにしたい
  • 「描画活動が苦手」という保育士の悩みを解決したい

本講座を受講いただくことで、保育士一人ひとりが子どもたちの小さなサインを見逃さず、その子らしい表現を引き出すための具体的なスキルを習得できます。それは、子どもたちの笑顔を増やし、保育の喜びを再発見するきっかけとなるはずです。

まずは、お気軽にお問い合わせください。
貴園の課題やご要望に合わせて、最適な研修プログラムをご提案させていただきます。
子どもたちの無限の可能性を信じ、共に「描けた!」の感動を分かち合いましょう。


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